胃ろうで長生きは。。
「胃ろうで長生き」は不幸なことなのだろうか。
うちの親が「胃ろうで寝たきり」になって三年以上になる。
ここまで長生きできたのは全て「胃ろう」のおかげだ。
この冬もそうだが何度も感染症にかかっていて、栄養状態の悪い老人ならば肺炎になり、そのまま老衰が進んで逝ってしまうところでも、
うちの親は何度も何度も回復した。
「胃ろう」のおかげで免疫力が保持されているからだろう。
栄養摂取ができていなかったら、免疫細胞の材料だって不足し充分には作られず、免疫力は低下する。
この冬は例年以上にインフルエンザやノロウイルスが大流行していて、老人施設では集団感染が起きている所もあるらしい。
「胃ろう」を付けるかどうかで悩んでいた頃、このような「胃ろうで元気な」終末期は少しも想像できなかった。
「胃ろうを付けないなら半年」と言われていたので、家族の間では「付けてもせいぜい三年ぐらい」だと言っていたものだ。
「胃ろうで十年」という例があるのは知っていたが、当時の状況からはとてもそれはあり得ないと、誰もが思った。
自力で食べられず栄養点滴だけだったので、よぼよぼだった。
それが胃ろうを付けると「太るのを心配」するほどになったのだから。
これが「胃ろうのメリット」で、終末期と言われるのが不思議なほど元気で、皮膚の色艶もよく、見た目はいい。
デメリットは「長すぎる終末期」ということだろうか。
ただし、これも本人が今現在どう思っているのかによる。
不幸だと思っていないかもしれない。
周囲の人々に何も伝えてくれないし、うれしそうにも楽しそうにも見えないので、どう思って生きているのかは不明だ。
「胃ろう等の不必要な延命は本人を長期間苦しめるだけで、本人のためにならない」と言われている。
終末期が長いということを指すのだろう。
逝くべき時に逝くという自然死の機会を人工的に失わせたから。
うちの親は生きていることが苦しいのだろうか。
無表情で、言葉を発することも少ないため、楽しそうに見えないのと同じく苦しんでいるようにも見えないのだが。
<That's Ninchi Show 2 No.1227>