これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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家族による無償介護は382万円。。。

家族による無償介護は、年間382万円分になるそうだ。

厚生労働省が「家族による認知症の在宅介護」の費用を初めて推計して、6.2兆円と発表したが、その元になる数字が382万円。

「家族による無償介護」は現実に存在しているのだが、数値としては表に現れないもので、いったいどのくらいなのか検討もつかなかった。

「家族の負担」という隠れていた費用が初めて数値化されたわけだ。

382万円というのは、慶応大学の佐渡充洋氏が中心となって、データを集計して出された数値らしい。(その計算方法はあとで紹介する)

現実はこれにデイサービスや訪問介護などの介護サービス代が加わる。
平均要介護3~4だとして、介護保険分は月額30万円。年に360万円。

介護保険だけでは在宅介護は難しい。必ず何かの介護保険外サービスを使わないと充分には介護できないし、家族が休めない。

毎晩睡眠不足では身体がもたないから、週に二、三回「デイサービス」の施設にそのまま泊めてもらうという例もある。

それらの介護保険外サービスを月に10万円とすると、年額120万円。

集計すると、382万円+360万円+120万円=862万円  

隠れていた382万円を加えるとこんなにも高額になる。これには医療費や食費、光熱費、オムツ代、消耗品代などが計算されていない。

それらを加えたらいくらになるだろう。施設のほうが断然安い。

うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)の場合、施設に入所しているので介護保険は年額329万円、家賃その他で年額200万円。

合計して529万円だ。在宅介護と比べてかなり安い。これには医療費が含まれてないが、その分の年間80万~100万円を加えても安い。

隠れていたコスト(382万円)を考慮しなくても、在宅介護は高くつく。その上に家族の負担は大きく、身体的に精神的に苦しい。

何度も言うが、「施設から在宅へ」という政府の方針は誤っている。

その人の条件によって最適な介護方法は何かを考え、「施設か在宅か」を選べるような環境であってほしい。

在宅介護が多くを占めている現状だが、全てが全て「施設よりも在宅がいいから、在宅を選んだ」わけではない。

介護施設が不足していて、入所できないから在宅」または「介護施設の費用が高すぎて、払えないから在宅」という場合も多い。

「在宅介護の推進」は選択肢を減らすようなものだ。ぜひぜひ考え直してもらいたい。

              <That's Ninchi Show 2  No.1018 >


< 382万円の計算方法>
1.認知症の人を家族に持つ1500名に対して、実際に介護にかけた時間を調査し、年間で延べ1300時間を費やしているとわかった。

2.家族による介護のうち、排せつなどの介助分を介護保険サービスで行った場合の費用に置き換えて計算。

3.食事の支度など身の回りの世話のために費やした時間分を、年齢性別による平均賃金を元に仕事として働いた場合に得られる賃金に換算した。