病院では「老人介護」はないから。。。
よく介護施設は「ほったらかし」と言われるが・・
老人を「ほったらかし」にすることに関しては、施設よりも病院のほうがずっと格段にひどいと思う。
うちの親が入院した病院、その全てが「ほったらかし」だった。
第一にオムツ交換、第二が食事(配膳)だが、どちらも親が入院して初めて目にして、あまりのひどさにあきれたものだった。
「おむつ交換」は、定時に一斉に行われる。看護師さんとは違う制服を着た集団が、三人一組ぐらいで各部屋を回って順番に交換している。
オムツ交換に必要な物(汚れ物入れ、おしりふき)をカートで運び込み、端のベッドの人から順に、同室の六人全員のオムツを交換する。
省力化と効率を考えたら、こうなるのだろう。それはわかるが、あまりにも個人を無視し過ぎているように思う。
シーツ交換と同じに扱われているように見えた。
みんながみんな同じ時にオムツが汚れているものだろうか。一人一人交換すべき時期は違っているはずだが。
介護施設では「個別対応」してくれる所はざらにある。病院で個別対応ができない理由でもあるのだろうか。
さて、食事も同じように「集団対応」そのものだった。こちらも看護師さんとは別の制服を着た人々が担当していた。
この部屋はこの人の担当というように、各部屋の担当があるようだ。
廊下のカートから各自のベッドまで食事を運び、食後に薬を飲ませ、各自の箸やスプーンを洗って収納し、食器を返すという役割だ。
寝たきりで歩けない患者ばかりの部屋を担当すると仕事は多くなる。
一人で病室全員(六人分)を担当するから、余裕など少しもなさそうだった。何の挨拶もなく、「お食事です」と言って置いていくだけ。
別の部屋も担当しているらしく、置いたらすぐ出て行って、20分ぐらいしてから担当者が戻ってきた。食後の薬を飲ませるためだ。
高齢の患者で少しも食べていない人を見て担当者は「食べないの? じゃ、お薬ね」と言ってさっさと薬を飲ませていた。ほんとに驚いた。
「食べるように促す」ということがない。「どうせ食べないから」なのかもしれないが、それでも「食べましょうね」と言うべきだろう。
また、食後の薬だが、どんな薬だか知らないが、食べてもいないのに薬だけ飲ませていいものだろうか。胃に悪いのでは?
よく見ると、その人の食事のお盆は運んで来た時のままだった。ラップやお椀の蓋はそのままだ。ゼリーやプリンもシールしたまま。
寝たきりなので認知症は出ていると思う。それでなくても高齢者は手が不自由でプリンなどの蓋は開けられないことが多い。
うちの親もそうだった。お椀の蓋がはずせないから、はずしてあげて、プリンの蓋も開けてあげて、それでやっと食べられる。
もしその人に食べる気があったとしても、蓋が開かないのでは食べられない。そういう配慮は病院にはないのだろうか。
食べられるような状態にしてあげてこそ、食事の配膳が終わるのであって、ただ運んで来ればいいというものではない。
あまりにも機械的な、流れ作業を見るような「病院の老人へのサービス」だった。思いやりのひとかけらもない、サービスだ。
あの老人はどうなったのだろう。食べることなく何日かして「少しも食べていないから、胃ろうを」と言われたのだろうか。
薬が飲めていたし、薬のあと「口が苦いからお茶ちょうだい」と言ってお茶も飲んでいたから、嚥下困難ではなかったと思う。
嚥下困難でなくても、食べないとなると、病院は「胃ろうを」と勧めるだろう。そうなると家族は大変悩むことになるのだが。
この病院の「認知症で寝たきり」の患者への対応は素人以下、まるでなっていないと言える。これが日本だとはなさけない。
病院が対応できていないので、入院すると認知症の患者はどんどん悪化して、寝たきりや胃ろうになることが多い。
入院したら最後、認知症になり、寝たきりになって退院する。それが日本の病院の標準だとしたら、高齢者は入院しないほうがいい。
高齢者が安心して入院できる病院はあるのだろうか。
<THAT'S NINCHI SHOW 2 NO.1016 >