親が認知症になって、眠れない夜が。。。。。
普通に眠れる、その有難さが普通わからない。
うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)のような介護度の重度な老人のいる家庭では、「普通に朝まで眠れる」ことはないだろう。
重度でなくても、認知症初期でもやはり同じことが言える。うちのおばあちゃんは施設に入居しているので、家族は毎日安心して眠ることができる。
そのこと一つでも、施設スタッフの皆さんのおかげだと感謝している。
発病当時、「施設もどきの高齢者住宅」に入居するまでは大変だった。毎晩「朝まで何事もなく眠れますように」と祈って眠りにつく。そんな毎日だ。
一人暮らしのおばあちゃんから、真夜中だろうが、早朝(夜明け前)だろうがおかまいなしに電話が来ていたからだ。つまらない用件で。
市役所から来た郵便の内容がわからないとか、お気に入りの服がなくなったとか、ラジカセの音が出ないとか、緊急でも何でもない用事ばかり。
何日もこれが続いて、家族は皆、睡眠不足。仕事に支障が出る。とうとう携帯も固定電話も電源を切って寝ることにした。
これで「眠らせてもらえない」というストレスからは解放されたのだが、この方法は認知症のケースでは絶対に避けねばならないものだった。
結果的に本人の認知症は悪化した。家族と電話が通じない、連絡がとれないとなると、不安で不安で、ストレスが最大値になってしまう。
家族に無視された本人は、親戚や友人、知人に電話して相談し、それでも解決しないので警察へ電話した。「息子が行方不明、拉致されたかも」と。
「近所のお寺に監禁されているから助けて」と言ったそうだ。どこからそんな話ができてくるのだろう。これが認知症の妄想だと知って驚いたものだ。
不安感が強まると妄想が起こる。「物が盗まれた」という被害妄想や、隣の家が火事だとか、娘や息子が失業したとか。
家族が無視していると、警察や消防に電話して自分の不安を解消しようとするようだ。パトカーも消防車も救急車も全部呼んでしまった。
本人からの電話が迷惑であっても、それを無視してはいけない。それを知っていたら、「仕事中は出ない、夜間は電源を切る」ようなことはしない。
普通に眠れていること、何の不安もなく眠りにつけることは有難い。