費用が壁で、施設に入れない老人は。。。。
特養の待機者が減らない。
大通りを渡ると、二軒や三軒は新しい老人施設がある。有料老人ホーム、サ高住(サービス付高齢者住宅)、ケアハウス等、種類もそろっている。
そこまで選択肢は増えても、それでも待機者が減らない。なぜだろう。
先日、たまたまテレビを見ていたら、うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)と同じく脳梗塞で左半身マヒになった老人を取材していた。
左側は手も足も動かないから、24時間の介護が必要だ。が、一人暮らしで世話してくれる家族はいない。日に数回の訪問介護が頼りだ。
夕食後に訪問介護のヘルパーさんが帰ったら、朝まで一人。動かない身体で、たった一人。どれだけ不安なことだろう。
その状態で二年も特養を待機しているという。そんな緊急性の高い老人でもすぐには入所できず、待機させられるとは。
この人の場合、訪問介護は安くはない。月に15万円ほどだそうだ。
それだけ払っているなら有料老人ホームやサ高住でも入居できそうだと思える。地方都市ならば。
大都市と、その周辺では月に20万円、それが入居費用の最低ラインだと思う。それ以下を望むなら、特養や老健しかない。
これらの施設には「大部屋」があるからだ。4人や6人の部屋だと、部屋代がほとんど無料に近い。特養や老健でも個室となると15万円を超える。
テレビ局の取材でケアマネージャーさんが答えていたのだが、この人の周囲では特養の待機者のほとんどが「大部屋希望」なのだそうだ。
大部屋なら、8万円から10万円ですむ。二人部屋でも、12万円から15万円だろう。限度額認定をとれば、あと2万円ほどは安くできる。
新しく次々と特養が建っているが、全室個室というのが多い。中には、有料老人ホームやサ高住より部屋代が高い場合もある。
プライバシーの問題を言えば、全室個室というのが理想だ。それが21世紀の世界標準で、昔ながらの大部屋は「前近代的、遅れた施設」だろう。
しかし、いくら理想的な施設であっても、利用するほうから歓迎されないのでは意味がない。個室の部屋代をもっと安くしてくれたらいいのだが。
毎月6万円の年金収入だけでは、月に8万円の大部屋だって苦しい。
入居時に300万円、毎月の費用は30万円というような、豪華な老人ホームも多い。が、そんなに払えるような豊かな老人ばかりではない。
有料老人ホームやサ高住だけでなく、グループホームも個室だ。これらが新設されても、「大部屋」待機者には何の関係もない。
大部屋の老人介護施設、その新設が必要だと思う。