寝たきりで「たすけて下さい」、再び。。。。。
意思疎通が難しいのが認知症だ。
初期や中期なら、それでも想像力を駆使すれば何割かは理解可能だ。わずかな言葉から、状況や背景をヒントに何が言いたいのかを推測して。
認知症介護には想像力が不可欠で、この能力が乏しいと困難さが増す。
が、入院が長引いたせいで認知症は進んだ。寝たきりになり、もっと進んだ。言葉を覚えてはいるが、しゃべらない日が多くなった。
先日、久しぶりによくしゃべる日があって、まだ言葉を忘れてはいないとわかって安心した。だが、その言葉で気になることもあった。
何の前置きもなく、何の説明もなく、唐突に「たすけて下さい」と言われたからだ。その理由をたずねても、返事はない。会話は一方通行。
この発言は以前にも繰り返していた。最後に聞いたのは4月、しばらくは消えていた。面会に行っても眠ってばかり、しゃべらない日が多かったので。
「たすけて」と言われても困る。理由が想像できないから、何をしてあげたらいいのか全くわからない。とりあえず「はい」と言っておいたけれど。
「はい」とか、「うん、わかった」とか言ってうなづくと、その場はおさまる。
何からたすけて欲しいのか、何で困っているのか、それが想像できない。施設で虐待されているわけはない。とてもよく世話してもらっている。
また被害妄想が出ているのだろうか。しかし、妄想を生むには脳が活性化しないと無理だ。そこまで脳が活動できているとは思えない。
もしそうなら回復している。終末期と言われて長いのに。あり得ない。
この状況を主治医である訪問診療の医師にたずねてみてもいいが、答えは想像がつく。「わかりません」だろう。今までもそうだったから。
言葉数が少なくなって、たまにしか発言しない。その一言を誰もわかってくれないとしたら、本人にとってはたまらない思いかもしれない。
わかろうとしても、わからないのだけれど。