寝たきりも突然、胃ろうも突然。。。。。
老人は突然・・・ということが多い。「寝たきり」も「胃ろう」も。
(気がつかなくて)突然「認知症」になったことから始まり、その後の病状の変化や悪化、進行の程度なども、「突然」で驚かされることばかりだ。
比較的ゆるやかに脳障害が進むアルツハイマー型に対して、「脳血管型の場合は段階的にガクンと症状が進む」という。それは知っていたが。
現実は突発的な変化だらけで、「予習」していたような経過にはならない。「階段を下りる」というような「想定できる規則的な下降」ではなかった。
何の予兆もなく突然、地面が割れて谷底にすべり落ちる、という具合だ。
突然、何段階も進むと、(現実としては)心の準備が間に合わない。覚悟していた状態をとばして「次の次の段階」にまで達すると、お手上げだ。
たとえば「嚥下障害」だが、認知症の最終段階では脳障害だけでなく筋力の衰えもあって嚥下困難になり、食べ物や飲み物の経口摂取が難しい。
のみこむのが苦しいので、「胃ろう」などの経管栄養に頼らねば、栄養不良や誤嚥による肺炎、窒息などで命を落とすことになる。
介護食は嚥下能力や咀嚼能力(歯でかむこと)が衰えていくのに合わせて、「普通食→ソフト食→きざみ食→ミキサー食」という段階がある。
うちのおばあちゃんは胃ろう設置の前は普通食だった。まだ嚥下も咀嚼もできていたわけで、胃ろうはまだ先、流動食(ミキサー食)のあとだ。
普通食の段階で、症状が数段階も悪化したとしても「ミキサー食になるだけ」と思っていたから、少しも「胃ろうの覚悟」はできていなかった。
もちろん、「寝たきり」もまだまだ先のことだった。その当時すでに食堂へは車椅子で移動していたが、自室のトイレまでは歩いていたからだ。
次に介助しても「立てなくなる」段階が来て、完全に「歩行不能」になり、100%車椅子移動になる。その後「座れなくなる」、そして「寝たきり」だ。
立てるし、数歩なら歩けるし、短時間なら座っていられる。このレベルからすぐに寝たきりになるとは思わなかった。
持病のない人でも転倒骨折で「ある日突然」寝たきりになる。老人はいつどうなるかわからない、そう思って心の準備をしておこう。