これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症、繰り返しの効果。。。。。

やっと退院して、もとの老人マンションに戻れた。
 
一週間に一回、おばあちゃんの様子を見に神戸まで出かける日常が戻ってきた。本人は長い入院の記憶があるのかどうか、たぶん断片的にしか覚えていないだろう。
 
そんな脳の状態でも、「日常的に繰り返していたこと」は別のようだ。しっかり覚えていることが多い。「繰り返し」は面倒ではあるが、記憶においては重要な要素だ。
 
というのも、おばあちゃんが顔を見るなり「今日はシャンプーの日?」と聞いてきたからだ。「今日は違うよ」と答えながら、よく覚えているものだと感心した。
 
土曜日はいつもシャンプーの日で(シャンプー拒否で悩まされたこともあったが)、おばあちゃんの長年の友人でもある美容室の店長さんが来てくれていた。四年間も。
 
この人だけと言っていい。認知症になっても見放さずに暑い時も寒い時も地下鉄に乗って通ってきてくれたのは。高齢なのに、おばあちゃんより一歳上(84歳)だ。
 
二週間前になくなったと聞いたときは驚いた。最後まで現役の美容師で、とてもしっかりしていて話題も豊富で、おばあちゃんより先に逝くとは思えなかったので。
 
この夏の異常な暑さが老人にはこたえたのかもしれない。
 
この人にシャンプーしてもらったのは去年の冬が最後だが、おばあちゃんは覚えていないのだろう。認知症の人の脳では時間はめちゃくちゃだ。
 
認知症でなかったら、友人が来なくなったことを気にするだろうし、なくなったと聞けば悲しんだことだろう。それがないのは幸せなのかどうか。
 
老いても誰の世話にもならず自立して、ひとの役に立つ人が先に逝き、世話になっている人が残る。皮肉なものだ。