これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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認知症の介護の難しさ

親が認知症になってはじめて、認知症の難しさがわかる。
 
まずその病気自体の複雑さだ。単なる記憶障害ではない。世間一般の認識との、あまりのずれの大きさに驚く。精神障害の合併症など誰も想像していないだろう。
 
「親の介護」は当然だと覚悟している人でも、「身体の弱った老人の介護」という想定であって、「身体は元気で動きまわっている狂人の見張り」とは思っていない。
 
もちろん個人差があるから狂人にはならない場合も多く、介護の方法によって(安心感を与えることで)狂人にならずにすみ、穏やかに暮らせる人もいる。
 
病気の原因も個人によってさまざまで、症状も同様に多様で、そのために「これ」という誰にでもあてはまる対応法はないと言ってもいい。
 
そのせいか、認知症の介護に関しては専門職にたずねても必ずしも正解を得られるというわけではない。個々の具体的な問題の正解はないに等しい。
 
誰にきいても「わかりません」と言われ、介護サイトを検索してみてもありきたりのことしか書かれておらず、途方にくれる。考えても答えが出ず眠れなくなる。
 
うちのおばあちゃんは要介護1から5までに五年、とうとう胃ろうで寝たきりになったが、その介護期間を通していつもわからないことばかりだった。
 
たとえば以下のような問題だ。
 
1.一人暮らしができるかできないか、その基準。
 
2.おむつ(紙パンツ)を始める時期、その程度。適した方法。
 
3.介護ベッドを買う時期。
 
4.胃ろう造設の基準。適性や適した時期。
 
5.どこからが「不必要な延命」なのかという基準。
 
 
さてどうしたかというと、誰にきいてもわからないから、全て「状況に迫られて」という結果だ。もしくは自分なり、うちの家族なりの判断基準によって決めた。
 
1.徘徊、警察や消防への迷惑電話
 
2.一人でいる時にトイレ前で転倒
 
3.歩行不能になりベッドで一日中過ごすようになった頃
 
4.体力があり、一時使用の後、経口摂取に戻すことが可能な場合
 
5.回復の見込みがなく、延命しても魂の抜けた存在になる場合
 
 
これでよかったのかどうか。本人は何も言わないからわからない。このように、認知症の介護はわからないことだらけで、世間一般で思っているよりもずっと困難だ。
 
認知症の介護は誰にでもできるものではない。認知症を甘く見ないでもらいたい。