認知症で歩けない、大きな誤解。。。。。
脳の中はわからない。が、わかってあげる努力がいる。
認知症の人の苦しさは外からは見えない。脳が少しづつ壊れていくのだから、それはもう想像のつかないようなストレスに毎日さらされているとは思うが。
ほんの小さな部分的な脳の不具合というのは表には現れにくい。
見た目ではどこも悪くないようでもあり、何でもできるようでもある。特に認知症の初期などは。
そんな時に何も知らないと、「できるのにやろうとしない。なまけている」とか、「故意にやらなかった」とか、大きな誤解をしてしまいがちだ。
そして、認知症の本人を責めたりすることがある。
うちのおばあちゃんの例もそうだ。初期の頃から歩行困難があったが、家族など誰かが手を引いてあげるとすたすたと歩けたので、誤解してしまった。
一人でも歩けるように見えた。
近所の整形外科の医師に相談しても、「骨も筋肉もどこも異常がなく、整形外科的には治療の必要がない」と言われた。
医師でも「認知症で歩けない」という可能性は頭になかったようだ。
認知症は大きくは四種類にタイプが分かれているが、認知・記憶障害よりも、運動機能障害のほうが先に出た例は少ないのだろうか。
医師がどこも悪くないと言うので、家族は誰も皆「歩けるはず」と思った。
「ほんとうは普通に歩けるのに歩こうとしない。甘えているだけ。歩かないから筋力が衰えて歩けない」と理解した。
大きな誤解だった。歩けないのは「認知症によるバランス障害」と、「歩き方の手順がわからなくなる、記憶障害」によるものだった。
初期はバランス障害だけだったと思う。
一人で出かけて、何もない平坦な道で転倒したことが何回もあったが、バランスをとることが難しくなっていたからだろう。
骨も筋肉もどこも異常がなく、整形外科的には問題がない。
また血液検査などで調べて内科的にも問題がない。が、脳が壊れたせいで「歩けない」状態になった。
内科医、整形外科医、そして家族もそれに気がつかず、ただ「本人のなまけ、甘え」だとみなした。
脳のことは誰もわからない。医師ですら専門外だとわからない。
周囲の人から「歩けるのに歩かない」と思われて、本人はさぞつらかっただろう。できないのに「歩け、歩け」と言われ、できないことを強制されて。
こういうことはよくある。認知症の初期は特にそうだ。外から見たら、一見普通の人と全くかわらないので、何でも一人で「できる」ように思われてしまう。
認知症の人は一人では何もできない。
認知症の人を一人にしてはいけない。