これが認知症なんだ (332) 重度になったら
<That's Ninchi Show No.332 >
要介護5、ここまでになったら望むことなどない。
「入所される方、皆さんに、この施設への要望をおうかがいしています。本人またはご家族の皆さんにきいていますので」ということだ。そんなこと一つも考えていない。
前回とそのまた前回に入所したときは、本人がこの質問に答えたのだろう。その時はしっかり会話ができたから。何と答えたのかは、聞いていないが。
他の病気なり、骨折などのケガからの回復期に入所する人なら、いくらでも答えられるだろう。「リハビリして歩けるようにしてほしい」とか、「オムツをはずしたい」とか。
施設に望むことなどない。「楽しく過ごしてほしい、それだけです」と答えた。
回復することがないなら、それしかないだろう。なぜこんなことを聞くのか、いまだによくわからない。認知症でも軽度の場合は違うのかもしれない。
認知症で、身体障害も重度の老人に何を期待するというのだろう。何の希望もない。お迎えの来る日まで、笑顔で過ごしてもらうこと、それだけだ。