今の時代の家族
育児も介護も一人で背負う時代だ。だから虐待が起こる。
人間はもともとは「群れで暮らす」動物のはずだ。子育ては集団で、母親だけの責任ではなく、家族(大家族)や親類が交代で子供の世話をする。猿の群れを見たらわかる。
子育てを終えた年配の猿や、子供を生んでいない若い猿も子育てを手伝うそうだ。
戦前までは日本は家長を中心とする大家族だったから、母親だけでなく多くの大人たちが口を出し手を出して子供達を育てていた。介護も同じことだ。
ご近所の人々も親類のように子供達を見守り、悪さをすれば叱り、子供達を地域社会で育てていた。同様に老人介護についても地域の協力が何かしらあった。
今はそういう血縁や地縁といった「自由を束縛するもの」が薄くなり、「個人の自由」を尊重するあまりに共同体意識が消えていこうとしている。
親類とのつきあいも少なくなり、兄弟姉妹でも疎遠にもなる。転勤といえば日本中どころか世界中を移動するようなグローバル社会になってしまったから。
「個の時代」は人間らしい生活ができない。「群れ」に戻さなければならない。
しかし、今さら「大家族」や「ムラ、マチ」といった枠にはめられるだろうか。自由に育って気ままに暮らしてきた人々が。
旧来の枠による集団は難しいだろう。新しい形の「群れ」を創造するべきだ。集団の中で協力して育児をしたり、介護をしたりすること、それが自然の姿だと思う。