これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (67) 認知症だから

<That's Ninchi Show  No.67 >
 
認知症だから」という固定観念が病気の発見を遅らせる。そんなこともある。
 
いつもと違う、口数が少ない、食が細い、動きが悪いと思っても、認知症が一段階進んだせいだろうと、つい軽く流してしまう。そういうふうに、段階的に進んできたのを見てきたから。
 
言葉を忘れたんだ、食べるのが面倒なんだ、手足を動かすという脳の部分が壊れたんだ、と勝手に素人判断してしまう。これは実はとても危険なことだ。
 
2010年12月9日、朝九時前にケアマネージャーさんから携帯にメールが届いた。
 
前日、おばあちゃんは原因不明の発熱、嘔吐、咳があって、食事もとれず水も飲めない状態だった。ケアマネージャーさんの提案で、夕方から近所の診療所で抗生剤の点滴をしてもらって、少し落ち着いた。
 
その医師は高齢だからと入院を勧めていた。が、手配はしてくれない。入院先の手配は訪問診療の先生(主治医)の仕事だということで。
 
メールを読んで安心した。朝食介助のヘルパーさんの話では、しっかり食事ができ、薬も飲め、熱も36,5度に下がったそうだ。
 
ケアマネージャーさんが見に行くと、本人、昨日まではまったく無言だったのに、自分から「朝、バナナ食べたよ。」と話かけたという。点滴の効果があったようだ。
 
あのまま放置していたらあぶなかったかもしれない。ケアマネージャーさんのおかげで命びろいしたと言える。
 
12月11日、土曜日、いつものようにマンションに行くと、おばあちゃんは少しやつれたように見えたが、よくしゃべる。風邪の症状はなく、とても元気そうだった。ただ、何だか発音が不明瞭で、ろれつがまわっていないようだ。認知症が進んだ?
 
おばあちゃんの古い友人が苺を持って見舞いに来てくれて、その小ぶりの苺を食べようとするが、口が開かない。苺のサイズまで口を開けることができず、食べるのに難儀している。
 
こんなことは初めてだ。口を開けるという動作も脳を使う。認知症が進んだ?
 
お見舞い客が帰ってから、買い物に行って、一時間後にマンションに戻った。ドアを開けたら、おばあちゃんが床に大の字になっていた。
 
病み上がりで、足が弱って前よりずっと歩行困難が進んでいる。トイレに行こうとして転んだのだろうか。聞いてみると、「転んでない」と言う。転んだことも覚えていないほど、認知症が進んだ?
 
風邪は治ってよかったが、認知症がいっきに進んだようで困ったなと思いながら帰宅した。脳血管型の場合、段階的にガクンと悪化するとは聞いていたが。
 
その翌日、ケアマネージャーさんから電話がかかった。おばあちゃんが、胃の調子が悪いのかまた嘔吐が始まったという。おなかに来る風邪ではないはずだが。
 
原因は何だろうと話していると、ケアマネージャーさんが軽い脳梗塞かもしれないと。以前にそういう症状の入居者を見たことがあるそうだ。脳の検査ができる病院に連れて行ったらどうかと。
 
妹夫婦が車を出してくれて、おばあちゃんを近くの総合病院に連れて行った。CT、MR I、その他の検査で、脳梗塞の再発と判明し、誤嚥性肺炎も併発していて、即時入院となった。
 
ろれつが回っていない、転ぶ、嘔吐、この三点だけでも脳梗塞の疑いがある。あとで考えたら、そうだ。なぜ気がつかなかったのか。前回、六年前の最初の脳梗塞のときと同じ症状だったのに、それを認知症が進んだと思い違いをしていた。
 
またまた、ケアマネージャ-さんに助けられた。本当にいい人に当たっておばあちゃんは幸運だったと言える。家族以上に心配してもらえて。