これが認知症なんだ (26) 家族の入院
<That's Ninchi Show No.26 >
家族が入院する。一人残されたら認知症はどうなる?
頼りにしている息子が長期入院すると、認知症のおばあちゃんはどうなるのだろう。
ふだんでも一人でいることが多いから、特にかわらないかもしれない。同じ建物(アパート)の別の階に分かれて住んでいるから。
それでも何日も没交渉ということはない。不安感が広がって、もし近所に迷惑をかけたらという心配がある。
友人はもうこの世にいないか、ヨボヨボで歩けないかで、誰も訪ねてはこない。近所も移動が激しく、親しくしていた人たちは遠方に引越ししてしまい、新しい友人はできない。頼れる人は一人もいない。様子を見に行ってくれる人すらいない。
入院予定日まで約一ヶ月、何とか手を打とうと、ケアマネージャーさんに連絡した。
検査してから手術するかどうか決まるので、はっきりした入院期間がわからない。
その上、夏から秋口のこの季節は特に空きがない。在宅で介護している家族が夏バテで、家族を休ませるためショートステイの需要が大きい。また、秋は家族の旅行や結婚式参列が多くなるからだ。そういう利用のために設けられた制度らしい。
認知症老人の家族は病気になっても入院できないことになる。制度上は。
苦肉の策で、デイサービスを週六日に増やし、夕方五時から六時まで毎日ヘルパーさんに来てもらうことにした。問題は祝日、デイサービスが休みになることと、デイの休みの日曜日。何とかヘルパーさんを派遣してもらうことになった。
夜間のヘルパーさん派遣はできないと言われた。夕方六時から、翌日の朝九時まで誰もいない。これで何か問題は出ないだろうかと不安だったが、しかたがない。
二年前から通っているデイサービスと同じ建物にある。これなら慣れている場所だから、おばあちゃんも安心できるだろう。同じ建物の1階には在宅介護センターがあり、いつものケアマネージャーさんがいる。これも心強い。
老健も待機者がかなりいるので、待機者の都合で偶然できた隙間の一ヶ月を、おばあちゃんがもらえたというわけだ。これも在宅介護センターと老健が同じ病院の経営のグループ企業どうしだったから可能になったのだろう。
在宅介護業者を選ぶときも、あとあとのことを考えて、系列の施設が豊富なところにしたほうがいい。たまたま二年前に病院系列のところに移ったのだが、それが思わぬところで役に立った。もちろん、ケアマネージャーさんの力も大きかったが。