これも認知症なんだ<That's Ninchi Show 2>

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これが認知症なんだ (10) 妄想 その3

<That's Ninchi Show  No.10 >
 
ウソから出たマコトだってある、ときには。
 
妄想だったのか、ほんとに病気だったのか、本人も答えられない。(忘れていて)
それは今も不明なのだが、あやうく狼少年、否、狼老人になるところだった。
 
ケアマネージャーさんから電話が入り、朝から何?と出てみると、予想どおり。
おばあちゃんが夜中に救急車を呼んで、市民病院に運ばれたという。
 
ケアマネージャーさんが付いて行ってくれ、連れて帰ってきたが、今は元気にしてる、心配ないから、病院に支払いにだけ行ってほしいとのことだった。
 
異常に血圧が上がっていて、その治療をしたらしい。それだけ。特に病気はない。
 
高血圧で四十代から降圧剤を飲んでいるが、認知症だから飲み忘れることも多い。
週に一、二回は家族がチェックしていて、数は合ってたはずだが。
 
部屋にある緊急ブザーでなく、本人が直接救急に電話したということだった。
マンションの名前や部屋番号をちゃんと伝えたなんて、とても信じられない。
 
入居したばかりなのに。何十年も住んでいた家の住所だって言えないのに。
認知症では新しいことは覚えられないはず。
 
ふと電話を見てわかった。親戚から電話があった時のために、新住所を書いて、
電話のそばに置いておいた。それを見たんだ、見ながら電話したんだ。
 
深夜にサイレン鳴らして救急車が到着し、管理人や救急隊員数人が部屋まで来て、本人はさぞ驚いただろう。それで興奮して血圧が上がったのかもしれない。
 
マンションの当直は一人だけなので、留守にできない。救急車に付いて行けない。
それでケアマネージャーさんが呼び出されたということだ。本当に申し訳ない。
 
寝不足のまま、続けていつものように夜7時8時までの勤務、しんどいだろうに。それも、たいした病気でもなく、たぶん「妄想の産物」だ。そんなのにつきあわされて。
 
老人マンションに入居前なら家族が夜中に起こされていたはずだ。
 
新住所のメモは処理した、何回も救急車を呼ばれては困るから。周りに迷惑をかけるし、またボケバアサンかと、本当に急病の時に、来てもらえないのでは。
 
そんなことはないだろうとは思うが。以前に消防車騒ぎがあったとき、こう言っていた。「たとえ認知症の人でも、とりあえずは駆けつけます。」と。
 
月日が経ち、だんだん電話がかけられなくなり、その心配は消えた。一つ一つできなくなって、心配も増えるが、逆に「できなくなったおかげで」心配がなくなることもある。