「一日でも快適に」のない医療では、老人は。。
もうあと二年で九十歳になるような老人は、うちの親のような。
普通の人と同じ医療は適さないと思う。
「一日でも長く生きる」ための医療は適さない。
そうでなく「一日でも快適に生きる」ことが第一だ。
快適でない環境(=病院)に長くいることだけは避けたい。
そういう事情を医療関係者の方々には考えてもらいたい。
同じ医療を提供することが正しいとは限らない。
うちの親の例を見てそれは確実に言える。
老人は症状に合った適量の薬を処方していても、
「なぜだかわからないけど」点滴や内服薬が効かないことがある。
止血など適切な外科的処置を施していても、
「なぜだかわからないが」出血が止まらないこともある。
治療効果が出ないため、一度入院すると長引く。
長くなると環境要因から、老化が進み、機能障害が増える。
認知症が進んだり、歩行困難だった人が寝たきりになったり。
うちの親は入院するたびにどこか身体の機能が失われていった。
入院する原因となった病気だけは治療できていても。
九十歳近い高齢者にとって、病院はせいぜい一週間、
それぐらいで退院させるべき場所だと思う。
うちの親の今回の入院は一週間でよかった。
検査が終わったあとの三週間は「点滴と経過観察」だけで、
施設に戻っての在宅医療でも十分こなせる範囲だから。
施設の主治医と看護師の負担が増えることをクリアーすれば。
入院後二週間のある日、施設の主治医(訪問診療医)に、
検査データを見てもらって退院の相談をしてみた。
主治医が「退院できる」と言えば、
病院の担当医が何と言っても退院させることができる。
施設の主治医が「もう少し病院で」と言わず、
「本人のためには退院させましょう」と言ってほしかったが、
どこも人手不足で忙しいせいだろうか。
医療関係者で「QOL=生活の質」を知らない人はいないだろう。
だが、認知症高齢者にとって、
認知症対応のできていない病院は「生活の質」を低下させる。
この事実を考慮してくれる人がどれだけいるのだろう。
認知症で寝たきりで九十歳近い人にとって、
「生活の質の低下」がどれだけ大きいものか、考えてみてほしい。
<That's Ninchi Show 2 No.1346>