寝たきりでも握力は。。。。。
重度になっても少しでもラクに・・と思う。
顔はいつも無表情で、つらそうにも悲しそうにもない。顔から気持ちをよみとることができない。脳梗塞によるマヒで表情筋が動かないから。
寝たきりになって半年以上だ。いつか起き上がれる日が来ると本人が思っていたかどうかはわからないが、ガマンの限度を超えているはずだ。
「認知症で満足に会話ができない。そこまで進んでいるなら、何も思っていないし、つらいとも悲しいとも感じていない」とは言い切れないだろう。
自分の名前は言える。家族の名前はあやしいが。会話もたまにできる。
頭の中は誰もわからない。脳波を測定したらわかるかもしれない。表現できなくても「イライラ」や「怒り」や「絶望」の部分が実は働いていると。
寝たきりになってから、おばあちゃんは会う人みんなに「たすけて下さい」と言うようになった。理由はたずねても答えてくれないので不明だ。
「絶望的な今の状態からたすけてほしい」のだったら、それは不可能だ。
ただ、こちらを見ながら頭を何度もあげている(首は今も動かすことができる)様子からして、起き上がりたいのでは(?)とも思う。
毎日寝かされたままではうんざりだろう。以前なら日に三回の食事やトイレでベッドを離れていたのだから。
左手は全く動かないが、右手は動く。右手でベッドの柵をつかんで身体を支えることもできる。何もしなくなって半年だが筋力は残っている。
右手の筋力はすごい。手をつかまれた時は寝たきり老人とも思えないほどの握力で驚いたほどだ。恨みでもこもっているかのようだった。
たぶん認知症のせいで「力の加減」がわからないからだ。本人は、軽くにぎったつもりだったのだろう。脳が壊れているから「適度」がない。
それにしても、老化の程度は握力でわかると聞いたことがあるので、それだけ握力があるなら・・まだまだ生きていけるということだ。
「胃ろうを付けなかったら半年」と医師に言われていた。付けてなかったら今頃は生きてはいない。これでよかったのか、どうなのだろう。
生きてはいるが、回復の希望はない。筋力も残っているが、リハビリはしてもらえない。いわゆる「終末期ケア」になっている。
その日まで「少しでもラクに」と願うだけだ。