老人施設、入居してみないとわからない。。。。。
施設は入居してみないとわからないことが多い。
うちのおばあちゃん(84歳、胃ろうで寝たきり)は「サ高住」に五年半ほど住んでいた。施設ではなく、住宅、介護サービス付高齢者住宅。
今年の春に訪問診療料金の改定があって、従来の料金では「胃ろうケア」ができないと言われ、しかたなく(今の)介護付き老人ホームに転居した。
それまで住んでいた所と同じ大手の介護業者の経営なので、建物の外も中も、インテリアデザインもほとんど変わらない。料金もほぼ同じだ。
看護師が常駐で「胃ろうケア」の割り増し料金がない、そこだけが違う。
ところが、思っていた以上に違いが大きかった。「サ高住」は「訪問介護」だが、こちらは「施設介護」、その違いだけなのだが、そこが大きい。
今の施設は以前の高齢者住宅と比べて、スタッフの平均年齢が若い。二十代三十代だ。訪問介護のスタッフは五十代が多かった。
若いから仕事熱心で意欲的なのか、よく勉強しているのか、介護レベルが一段高いように思う。転居してみないとこれはわからなかった。
今までの「サ高住」の介護が標準レベルだと思っていたから。不満はあったが、それ以上は望めないとあきらめて、何の文句も言わなかった。
転居して、おばあちゃんが時に笑顔を見せるようになったし、よくしゃべるようになり、反応もよくなった。それだけでも転居してよかったと思う。
面会に行った時、おばあちゃんの部屋には必ず誰かスタッフがいる。世話をしている時もあれば、ベッドの横の椅子に座って話をしている時も。
高齢者住宅ではこんなことはなかった。個室のドアを開けて介護スタッフがいてくれること、あるにはあったが「いつも」ではない。たまに、だ。
訪問介護のスタッフは、おばあちゃんの話相手をしてくれることなどほとんどなかった。熱心なケアマネージャーさん一人を例外として。
「訪問介護」は30分とか時間制限があり、「本人の話をゆっくり聞く」わけにはいかず、決められた仕事をさっさとすませて行ってしまう。
介護施設を選ぶ時に、何を基準にするだろうか。
「訪問介護」と「施設介護」とは、どこがどう違うか、それを理解して選択しているならいいが、一般の人には区別しにくいと思う。
料金体系として、訪問介護はアラカルト方式で単品積み上げ、どちらかというと割高。施設介護はセット料金なので割安。その程度の知識だろう。
先日新聞に入っていた広告は、同じ敷地に同じ業者が「サ高住」と「介護付き老人ホーム」を建てているものだった。違いがほとんどわからない。
建物の外観も個室の広さも利用料も、ほとんど同じだ。これを見た人は、どちらでもいいと気軽に考えてしまうだろう。空いてるほうでいい、と。
まだまだ元気だから「仮住まい」というなら、「住宅」がふさわしい。が、「終の棲家」として選ぶなら、「住宅」ではなく「施設」だと思う。